The Beatles - Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Deluxe Edition) (Capitol Records, 1967, 2017)

説明するまでもないアルバム。「Deluxe Edition」ってなんやねんと思ってたけど、2009 年のリマスターシリーズはオリジナルテープを使っていかに元音源を高音質で再現するかに重きを置いていたのに対して、こっちはミックスや楽器の定位も見直して現代の技術でいちばんいいビートルズの音を作る、という視点で作ってるみたい。その甲斐あって、正直リマスターでは理解しきれてなかった音の良さだとか、楽器群のグルーヴだとが、曲自体の素晴らしさを再確認することができた。そしてその結果、1967 年 5 月リリースってのが如何にやばいのかわかってやばい。Pet Sounds の 66 年 5 月もやばすぎるが…。

Mocca - Colours (FFWD, 2007)

インドネシアの 4 人組によるエヴァーグリーン・ボッサ・カフェ・ポップス。タイトル通りのカラフルさをもって昼下がりの時間を彩ってくれそうなアルバム。ホーンが軽やかでいい。リリース元の FFWD は、インドネシア国内バンドと Club 8、Edson、Ivy など海外のインディ良バンドの国内版カセットテープをリリースしていて、めっちゃいいレーベル感があるのでチェックしたい。「Let Me Go」には Edson の Pelle Carlberg が参加してるし、Labrador Records と仲いいのかな。あと AppleMusic 配信版には含まれていないんだけど、Bjork の Hyper-Ballad のカバーがほどよい感じにゆるやかなバージョンでなかなかいいのでそちらもぜひ。

Chris Price - Stop Talking (Omnivore Recordings, 2017)

Emitt Rhodes の 2016 年の復活作「Rainbow Ends」のプロデューサーだったことから名前を知ったこの人。5 年ぶりのソロアルバムをパワー・ポップ名門の Omnivore からリリースしたということで、その界隈の人たち(?)が発売前から話題にしていたイメージがある。実際聴いてみると前評判の通り、いやそれ以上にポップス職人アルバムで思わず笑顔になった。ポップなメロディでスムースな聴き心地なのに、なかなか捻ったコード進行やアレンジがされていたりして飽きない。ベースはそれこそ Emitt Rhodes、Paul McCartney、Matther Sweet あたりだったりするんだけど、プラスでポストロック的な手法とか Jellyfish みたいな大仰な展開もあったりするのが軽快で素晴らしいところ。すばらしいアルバム。

Radar State - Spinning Wheel - Single (Self, 2017)

The Get Up Kids の中心二人である Matt Pryor & Jim Suptic と The Anniversay の中心人物 Josh Berwanger がバンドを組んで、しかも普通にポップパンクバンドをやるという奇跡…。そんな状況で悪いものが生まれるわけがなく、現在発表されているのはこの一曲だけながらも最大の期待をしてしまうバンド。もう音からメロからコーラスからアレンジからすべて GUK の Forgive and Forget とか初期の名曲を連想してしまう出来で、つまりもうやばい。アルバム作って GUK と Anniversary との 3 マンという名目で来日してほしい。最高じゃない?

Will Stratton - Rosewood Almanac (Bella Union, 2017)

カリフォルニア出身の SSW による 6th アルバム。今作から Dakota Suite や The National をリリースする Talitres Records から Bella Union に移籍。こまやかなアルペジオにアトモスフェリックなストリングスやエレキギターが重なり、色をつける程度ピアノが優しく乗せられる。フォークだけどスロウコア的なロックへのアプローチがあり、ドラマチックな展開に心をがしっと掴まれる。孫引用だが、彼の 1st アルバムには Sufjan Stevens がオーボエで参加しているらしい。なるほどのつながり。

Nouveau Vélo - Reflections (Excelsior, 2017)

オランダの 4 人組による 2nd アルバム。Real Estate 的な素っ気なさと Slumberland Records(というか Literature あたり)っぽい性急さを持ち合わせている、王道をゆく歌ものアルペジオインディポップ。このかんじは Strokes とかも好きなんだろうか。あんまりオランダのバンドって普段聴かないけど(Focus くらい…?)土地的にはデュッセルドルフとかブリュッセルとか近いんだよな。Dig り欲が出てきた。

PLECTRUM - The Life Romantic (INDIAN SUMMER, 2017)

日本の Teenage Fanclub こと PLECTRUM による、12 年ぶりの新アルバム(6th)…とは言っても 1〜3rd までしか聴いてないので偉そうな事は言えないのだけど…やっぱり全く空白を感じさせないフレッシュさと TFC さ。そしてこのメロディー、このギターの音!変わらないことが素晴らしすぎるバンド。そして、聴いていて歌詞がするっと入ってくるのがちょっと意外だった。こんなに練られてたんだ。日本語ロックとして素晴らしいと思う。