31Ø8 - 31Ø8 (BLU) (Jigsaw Records, 2017)

ジャグリーポップの宝庫 Jigsaw からのリリース。「3-1-zero-8」と読むらしい、UK 出身の Kyle “Tyler Zypreksa” Hill 氏による宅録プロジェクト。再生して 20 秒で「ローファイ」「へなちょこボーカル」「だけどキラキラリフ&胸を締め付けるメロディ」という主要要素が伝わってくる最高さ。事実最後まで曲をちゃんと聴くとスピッツに負けないくらいのみずみずしさを持ってるし、ポップソングとして完成されていることがわかる。こういうの聴いてしまうとやっぱりメロディ力が一番大事なんだなという気持ちになる。

Adrian Whitehead - One Small Stepping Man (Popboomerang Records, 2003)

オーストラリア出身の Adrian Whitehead さんによる一ミリもスキのないポップスアルバム。1 曲めで「Caitlin’s 60s Pop Song」というタイトルで「She’s so beautiful」とか歌われたらそりゃあ恋に落ちる。こういう最高アルバムがなんで埋もれてるのかほんとに謎だ、音楽界。2003 年にこの 1 枚アルバムをだしただけのようだが、他の Beatles→Jellyfish なポップスバンドたち含め(The Sonic Executive Sessions とか The Merrymakers とか)なぜ短命なんだろうか。ほんとに…。

Ken Stringfellow - Touched (Manifesto, 2001)

泣く子も黙るパワーポップバンド The Posies の中心人物である Ken Stringfellow によるソロ 2 作目。本体バンドもすばらしいが、ソロ 1 作めを発表した 97 年ごろから外の仕事も増えてきて(Big Star や R.E.M.)、やることなすことすべて最高のポップス職人時代が始まっていた。そこで出たこのソロ 2 作目、悪いわけがなく、もう全世界のポップミュージックファンが聞くべき名盤である。アレンジがカントリーだろうがオルタナだろうが自分らしさとポップさを全く失わないこの手腕。そのおかげで全く飽きない構成。はいこの名盤がこんどアナログ化です。買わない手はないですね。わー。

Koji Nakamura - Open Your Eyes 13 Mar. 2017 (Ki/oon Music, 2017)

ナカコーは名義やら音楽ジャンルやら紆余曲折しすぎで、今なにやってるか把握してるファンはよっぽどの追っかけ、というイメージになってしまっている気がする。しかし、久しぶり(「Masterpiece」以来?)にわかりやすく「これが今のナカコーだ」と掴めるのがこの「Epitaph」プロジェクトだ。プロジェクトの詳細は公式サイトインタビューを読んでほしいけど、個人的には継続的に続けてきた「ハードコア」な活動(アンビエントものなど)と「ポップ」な活動(メロディもの)の再度の合流として、商用配信でアウトプットしていくのかなと見えた。今回公開された 3 曲は実際キャリアの中でもポップさを感じた後期スーパーカーや iLL のアルバムを連想するボーカルソングだし、作家の唯川恵の詩を採用するなど視点も開かれている。なにより最近のナカコーはセンチメンタリズムをちゃんと狙えてない感じが惜しい気がしてたのだけど、真っ向からエモ切なくて素晴らしいと思った。このプロジェクトで売れてナカコーが儲かる…ということは少なそうだけど、少なくとも再びかつてのナカコーファンが作品に触れやすくはなったと思うので、これを読んでるひとは周りのみんなに勧めてみよう(信者)

Frisk frugt - Den Europæiske Spejlbue (Tambourhinoceros, 2015)

デンマークのソングライターによるソロプロジェクトの 4 枚目?多種多様の楽器群が付かず離れずの分解寸前アンサンブルを繰り広げながら、ある瞬間にめちゃくちゃポップな旋律を形作ったり、不安げな表情を見せたりする。だからといって無調だったり「現代音楽」なだけではなく、様々なワールドミュージックの香りも所々にしている。最高にスリリングで楽しいリスニング体験だった。

I Love Your Lifestyle - Touch / Fire ( Dog Knights Productions, 2017)

いつでもキラキラで胸を締め付けるエモバンドの新シングル。ゆるやかな立ち上がりから徐々に熱を上げていき、最後には両手を振り上げざるを得ない熱狂に。なんか完成されてしまっていて、トゥインクルエモバンドあるある: 短命 が達成されてしまいそうで怖い。もう一つ先が見て見みたいんだ。