Cotton Mather - Wild Kingdom (The Star Apple Kingdom, 2017)
John Lennon 由来のサイケボーカルと甘々メロディで 90s パワーポッパーの心を鷲掴みにした Cotton Mather。去年復活作を出したときは歓喜の叫びを上げたのだけど(脳内で)、まさか2年連続で新作がでるとは思いもよらず、再度の叫びを上げた(ツイッター上で)。今作もビートルズ由来のポップ感は残したまま、すこし肩の力を抜いた軽快なポップスが揃っている。ボーカルはちょっと年をとって丸くなったけど、またこれもよし。
Ray Davies - Americana (Legacy Records, 2017)
先日弟の Dave も息子とのコラボアルバムを出したが、負けじと?お兄ちゃんも The Jayhawks という最強のバックバンドを従えて、5 枚目のソロアルバムを実に 10 年ぶりにリリース。ロンドン生まれのレイが、自分の脳内アメリカ像を、まさに"Americana"な音楽を体現してきた Jayhawks を介して表現するというなんとも捻くれた構造。さすが Kinky。そんな文脈を歌詞とともに味わってもいいし、音だけでもカラフルでありながら前述のひねくれ構造が何となく見えて面白い。まだまだ現役であることを見せつけられた。
my letter - 僕のミュージックマシーン (& records, 2017)
& records の日本人バンドでは一番好きかもしれない。立命館大学の「ロックコミューンじゃないほう」である軽音学部出身で、同じく京都を拠点に活動してきた彼ら。基本的に体温低くて音楽的エモさは少なめなんだけど、勝手に自分の中の風景を引っ張り出されてエモくさせられてるというか…不思議な魅力のあるバンド。今作はドラマーの脱退と京都から拠点を移動させてからの作品だというが、基本路線は変わらずで、芯の太さを感じさせるいいアルバムだった。
Tigran Hamasyan - An Ancient Observer (Nonesuch, 2017)
アルメニア出身のピアニストによる 2nd アルバム。故郷に立ち返ってインスピレーションを得たという楽曲群は、しかし郷愁を誘うメロディや鑑賞者自身(僕とか)の記憶を想起させるような普遍性を持っていると思う。丁寧に一手一手選び抜かれた音楽に聞こえるが、堅苦しくなく気持ちいい。
Peter Silberman - Impermanence (Anti-, 2017)
The Antlers のフロントマンによるソロアルバム。The Microphones の楽曲からバンド名を採ったというだけあって、こだわりまくった音像はバンドもソロも変わらず。隙間だらけなのに全く気を抜けない曲ばかりで、スロウテンポなところも含め Sun Kil Moon に近いかも。去年インストアンビエントアルバムを出していたらしく、アンビエントの概念をギターと声で再現した感じなのかもしれない。ライブで見たらゾクゾクしそうだ。
Ron Sexsmith - The Last Rider (Compass, 2017)
ツアーの合間に Youtube でカバー曲をぽんぽん発表していたロンセクさん、あんまりスタジオ作に興味ないのかと思わせつつちゃんとレコーディングも進めていただいていたようで嬉しい限り、という気持ちでアルバムを聞き始めた。この人絶対根暗だと思ってるんだけど、ツアーバンドのメンバーと制作したからか、かなり陽性のアルバムになっている。そういう暗い人が周りのおかげで明るい音楽作るみたいなのすごく好きなんだけど、その最たる例という感じで大変良いです(全く音楽の感想ではない…)。