# Jay Som - Everybody Works (2017)

カリフォルニアの女性インディ SSW の 2nd アルバム。前作は Fat Possum→Topshelf/Polyvinyl で今作は Polyvinyl からリリース、Mitski と Japanese Breakfast とでツアーを回ったなど、能書きだけですでに期待が大きすぎるのだけど、音を聴いてその期待が過大ではなかったことがわかる。ほんとさりげない曲でアレンジも最小限なんだけど、一聴しただけでも音選びやメロディのセンスが伝わってくる。そしてエモすぎないのでなんとなくでも集中しても聴ける。年間ベストに入りそう。

# Hiccup - Imaginary Enemies (2017)

元 The Unlovables のメンバーによる、男女ツインボーカル・インディポップバンド。リリース元の Father/Daughter Records は Happy Diving や Sports、PWR BTTM などローファイ+エモ+ノイジーなポップバンドを多数輩出しているレーベルだが、今回もハズれないバンドをもってきたようだ。「Neverwhere」の Sleater-Kinney みたいなパンキッシュさとポップさのギリギリをいくメロディもいいし、「Lady Macbeth & Miss Havisham」や「Yeah」のような That Dog./the pillows 的ひねくれオルタナな曲も聴かせるアレンジになっている。

# Geotic - Abysma (2017)

センチメンタルテクノ兄さん(適当)・Baths こと Will Wiesenfeld がアンビエント寄りなリリースをするときに使うオルターエゴ「Geotic」だが、今回のアルバムについては正直本体の Baths と区別がつかないほどビートもメロディもしっかりあって、位置づけよくわからない(もう一つの名義[Post-foetus]との差も謎)。しかしながらそんなことは 1 曲目「Sunspell」を聞いた時点でどうでもよくなっていると保証しよう。がっつりサイドチェインに繋がれて強調されたシンプルなビートとは対照的な、優しいときの Aphex Twin みたいなふわふわシンセ、郷愁を誘うエモいラインをたどるリード。続くリード曲「Actually Smiling」で思わず動き出す身体に、3 曲目「Nav」ではついに入るボーカルでテンションマックス。やっぱり Baths じゃねえか!最高!!どんどんエモさを増す楽曲を辿っていくと、7 曲目「Perish Song」のイントロが流れてきたところでこのアルバムは特別であることを確信する。そしてハッピーエンドよろしく流れる「Valiance」が唐突な終わりを告げた時、飢餓感に駆られてすぐ再生ボタンを押してしまうのであった。名盤。

# Uncle Tupelo - Anodyne (1993)

1987 年から 1994 年まで活動していた Uncle Tupelo は、やはりのちに Wilco(Jeff Tweedy/John Stirratt/Max Johnston/Ken Coomer)と Son Volt(Jay Farrar/Mike Heidorn/)を結成するメンバーがいたというのが有名だろう。…というところまでは知ってたんだけど、先日 SGGK の shouheiman さんとお話しする機会があって、そこで推されるまでちゃんと聞いた事がなかった。でよく調べてみたら上記 2 バンド以外にも The New Amsterdams、The Gourds、 The Autumn Defense のメンバーが在籍してたのか。恐ろしい。さてアルバムを再生してみると、音は 70s のカントリー/フォークなロックで Wilco ほどオルタナ成分は入ってないようだけど、正直 70s の名盤たちを隣に並べても全く謙遜ない曲の良さとハーモニーばかり。軽快なフィドルとバンジョーがカラフルだし、泥臭すぎないところが聴きやすい。それでいて「The Long Cut」なんかでは Neil Young さながらに熱いギターをぶちかましたりもする。これ正直 Wilco より好きかもしれない…。名盤だ。

# Joe Hertler & the Rainbow Seekers - Terra Incognita (2017)

P-Vine のコンピ「ワンダーフォーゲル ~大自然の BGM~」がかなり良い感じにアコースティックインディロックをまとめていて、これいいアルバムだなーと聞いている中で知らないけど最高だったバンドが、この「Joe Hertler & the Rainbow Seekers」と次の「The Middle East」だった。

名前のとおりミシガンの Joe Hertler さん主導のプロジェクトのようだが、現在はメンバーが 7 人の大所帯。アコースティックな楽器をメインにしつつも、「Your Story」「Hometown」のようなメインストリーム寄りポップロック、「Trying To Break Your Heart」のドゥーワップ、「Captain America」のようなサックスを入れたスイートなソウル、「Future Talk」で見せる今時のファンキーなナンバーなどなど曲調の幅は広い。すこしとっちらかった印象はあるものの、安定した演奏とコーラスは共通しているので、通しでも聴けるし、BGM にしても良い感じ。

# The Middle East - The Recordings of the Middle East (2009)

で、こっちはオーストラリア出身の(これまた)大所帯バンド。残念ながら 2011 年に解散してしまったようだけど、それまでは Grizzly Bear の前座なんかもやったことがあるようだ。瑞々しいギターと重層的なコーラスがメインのシンプルなアレンジが多いが、ピアノ、グロッケン、口笛などアクセントになる音がうまい具合に挿入されていて、どの曲も印象に残るのがすごい。どの音色もめちゃくちゃ好み。ハーモニーの重ね方は Bon Iver や Fleet Foxes に近いし、楽曲の完成度も高いので現在活動してたらもっと完成度高いものが出てたんじゃないかな。残念でならない。


で、しばらく 2 週間に一度のペースで運用してみたのだけど、書く文字数がどうこうというより、間が空いてしまうとやる気やペースを持ち直すのがより難しくなるということが分かってしまった。ので、やっぱり週刊に直して、その代わり一回当たり 5~7 曲くらいに抑えようかなと思っている。来週の月曜日が早速近づいてるけどな!