# Giovanca - Subway Silence (2008)

自分の Apple Music ライブラリを見直してたら全然聞いた記憶のないやつが入ってた。Benny Sings プロデュースという関係で登録したんだろうと思う。まさに洒脱なアレンジとスムースなメロディは彼のそれなんだけど、ボーカルが女性というだけでまた印象が全然違う。ベースが普遍的ならどうやっても最高という良い例ですね…。元モデルをソングライタープロデューサーが仕立てるって、なんとなく中田ヤスタカとか北川勝利とかそういうのを連想した。

# サニーデイ・サービス - 桜 super love (2017)

去年のマイベストアルバム「DANCE TO YOU」から一番エモい曲がシングルカット。表題作のタイトルでびっくりする人が多いだろうけど、ストレートなメロディと桜の季節の切なさが最高に感傷を誘う名曲。カップリングにはラブリーサマーちゃんのリミックスと新曲2つ、最新ツアーからライブ音源が 5 曲とボリュームたっぷり。特にライブ音源が先日見たとおりこれまたエモーショナルがはじけてる最高のパフォーマンスなので、こちらだけでも聞く価値あり。

# ナツノムジナ - 天体・月の裏側 (2017)

何度か名前を聞いた事があった沖縄出身の 4 人組。会場限定シングルがなぜか Apple Music にあったので聞いてみた。こんどフルアルバムを出すんだったかな。多分バンド名を見ただけで反応する人もいると思うけど、その連想の BOaT/NATSUMEN 的なギュイーンな音は少ない。しかしながら、浮遊感がありつつ歌心が浮き彫りになる「天体」や、ガチンコで泣かせにくる展開とか(「凪」のほうだけど)よさみポイントはかなり高いし、上記 2 バンドが好きな人もなんか気になるのではないだろうか(そういう人は「月の裏側」をきくべし)。あと、アートワークやイベントにも美意識が行き届いてかなり面白い。ライブ見てみたい。

# Various Artists - Unsung Heroes: Songs of Eleni Mandell (2017)

Eleni Mandell 楽曲へのトリビュートアルバム…といいつつ、全く Mandell さんの曲を知らずに参加アーティストの豪華さだけで聴き始めてしまったアルバム。だって Jackson Browne、Priscilla Ahn、Mike Viola、Inara George (The Birds & the Bees)、Van Dyke Parks ってすごすぎないか。ドニーダーコのサントラ書いてた Mike Andrews とかも地味にいるし(失礼)。で、聴いてみたら、確かにこれだけのアーティストにカバーされるだけあるスタンダードに良い曲集だった。オリジナルもきかないとな。

# Dirty Projectors - Dirty Projectors (2017)

このアルバムは先行曲が出るたびに話題になっていて、アルバム本体が出ても暫く話題になっていたけど、ほんとそれだけの衝撃のある革新性と魅力のつまったアルバムだと思う。もはやプリズマイザーくらいじゃ驚かないんけど、この歌詞にこのメロディならこのアレンジしかない、でもいままでこんなアレンジしたことある人がいたのか?という職人的…というか偏執狂的ヤバさには驚かざるを得ない。ベースはコンテンポラリー R&B なんだろうけど、いちいち鳴ってる音が知ってる楽器なのにエディットしすぎで違和感バリバリ、でも収まるべきところに収まっている、というのが続く。こんなの一人でひたすら作ってたとか怖すぎる。これ大失恋で作られたアルバムらしいんだけど、やっぱ音楽家は恒常的に幸せになってはいけないよなあという感想。

# Rolling Blackouts Coastal Fever - The French Press (2017)

長すぎて自分たちでも Rolling Blackouts CF って略称してしまうこのバンドは、メルボルン発 Sub Pop 所属の 5 人組。このバンドのよさは「雰囲気」だと思っていて、多分メロディはあまり練られてないしそこまでキャッチーでもない。楽器が特別上手いわけでもない。新鮮味もない。けど、Sub Pop とか Matador とか聴いてきたインディキッズの心のどこかをつかむ「何か」を持っていて、それにうまいこと騙されてループ再生してしまう。

# R. Stevie Moore & Jason Falkner - Make It Be (2017)

かねてから交流のあった(Ariel Pink & R. Stevie Moore のプロデュースに端を発する)色の違う二人のポップス職人が、ついにタッグを組んでアルバムを制作。おそろしくわかりやすいアレンジと作曲の違いが出てるけども、音質の方は全部ローファイで均されている(?)。スティーヴィーさんには悪いが明らかに Jason 作った感のある曲(「Another Day Slips Away」「Play Myself Some Music」)ばかり聴いてます。ごめんなさい。でも「I H8 Ppl (I Hate People)」は良い曲。

# Minus the Bear - Voids (2017)

これまた凝り方が異常すぎる、エフェクターの魔術師 Minus the Bear の新譜。相変わらずどうやって出してるかわからないけど多分エレキギター、という音が空間を自由自在にして置かれ、その合間をめちゃくちゃキャッチーなメロディが走り抜ける。この前に出たのがレアトラックス集だったので実質 5 年ぶり?のアルバムなのだけど、ほんと変わらずで安心した。

# Julian Lage & Chris Eldridge - Mount Royal (2017)

矢野顕子が褒めてたのを見て聞いてみた。この名義としては 2 枚目のアルバムだけど、それぞれバンドやソロで既にリリースは多く、ジャズ/ブルーグラス界で評価を受けているらしい。Eldridge さんは Punch Brothers のメンバーなのか。ほんとうにアコースティックギター 2 本(とボーカル)だけが全編演奏されるだけなんだけど、あまりにも純粋な、ギターってこんな良い音なるんだって思ってしまう音色にまずうっとりする。そして互いを補完し合うギターフレーズに耳を奪わる。バックグラウンドはジャズとフォーク/カントリーなんだろうけど、それ以外にもミニマルミュージックやヒップホップ、R&B の影響を読み取れる懐の深さを感じた。こういうの書く定型文みたいになりつつあるけど、ほんとにアコギからそういう要素がかんじられるんだよなこれ…。すごい。

# Francis MacDonald & Harry Pye - Bonjour (2017)

先日来日した記憶が新しい Teenage Fanclub のドラマーとして知られている Francis MacDonald と、詩人?芸術家?の Harry Pye によるユニット。フランシスは TFC ではあまり曲を書かないながらもサイドプロジェクトはけっこうやっていて、多分 Nice Man や Speedboat のアルバムは中古でも店頭で見つかると思う。しかし、Speedboat 以来近年はめっきりボーカルアルバムはつくっていないらしく、このアルバムで 15 年ぶりとかなんじゃないだろうか。素朴なメロディでじんわりくるのは TFC の面々より盟友 BMX Bandits の Douglas Stewert の作風に近いかもしれない。このアルバム、ポエトリーリーディングやよくわからない曲も入っていて一筋縄では行かないのがひねくれててまた面白い。そのあたりはMikiki のインタビューに詳しいので一読おすすめ。

# Bonny Doon - Bonny Doon (2017)

先日紹介した Bonny Doon のフルアルバムが発表されたので聞いてみたが、やっぱいいバンドだったので再度取り上げた。わりと想像通りの素朴な曲が並べられたアルバムで、なにげないアレンジだしメロディも派手さがないんだけど、どうも繰り返し聞き直してしまう。

# Real Estate - In Mind (2017)

なんかもう貫禄も出始めた Real Estate の 4 枚目のアルバム。2014 年に発表された前作との間にメンバーのソロ作は 3 枚くらい出ていて、Ducktails こと Matt くんもバンドを離れてそれぞれ表現したいことが出てきたんだなぁ…という感じだったけど、いざ本体のアルバムが出てみると、普通にいままでの流れを踏襲しつつ音作りとかソングライティングとか洗練されていて、なんだよ良いバンドかよ…という感じだった。なんか前まではけだるいばっかりの印象だったのが、ノリがプラスされてめちゃくちゃいいんだこれ。

# Spoon - Hot Thoughts (2017)

もう 9 枚目なのか。オースティン出身で独自の美的感覚で音楽を作り続けるバンド。日本ではあんまり人気がないらしく、来日も全然してないんだけど、個人的にはかなり好きなバンド。前作「They Want My Soul」は 2014 年でそれも聴きこんだ記憶がある。今作も Spoon 節…ってなんだかわからないけど、そうとしか言えない「彼らっぽさ」が遺憾なく発揮されているアルバムだと思う。多分 Spoon ぽさって音色のこだわり方なんじゃないかと思う。だから 1 曲目の音色を聞いて、これはやべえなと思ったら今回も当たり。どうやらこんどサイン会だけ東京でやるらしいが、そんなんいいからライブやってくれないですかね…。


2 週に一回にしてみた結果:バンド数はちょうどいい感じ。文章のクオリティは変わらずゴミ。