年間ベスト記事書いて〆みたいにしたけど、他の人のベスト記事見てたら次々と見過ごしてたアルバムが出てきたので普通に書く。


# The Seams - Meet the Seams (2016)

カナダ・トロントの Fake Palms、Elsa、U.S. Girls という 3 バンドのメンバーによるパワーポップでドリームポップなバンド。軽快さと夢見がちさのバランスの気持ちよさ。メロディも大変よろしい。


# Kyle Forester - Kyle Forester (2016)

Crystal Stilts の中心人物でマルチプレイヤーな Kyle さんによるソロ作。CS の Slumberland 的なノイジー/ポストパンク的な要素もあるけど、彼が参加している The Ladybug Transistor 的なエヴァーグリーンなポップスの色合いが強い。

このあたりの関係性全然知らなかったけど、The Ladybug Transistor の周辺は The Essex Green、Jens Lekman バンド、Saturnine、Kevin Ayers とか最高のアーティストしかいなくて本当に恐ろしい。


# The Real People - Monday Morning Breakdown (2016)

リヴァプール出身の 4 ピースバンド。多分 Oasis と Oasis の 1st アルバム期にセッションをして、Real People の曲とめっちゃ似てるやつを Oasis 名義でリリースしちゃったの?みたいな文脈でしか有名じゃないと思う。でもギャラガーさんが一緒に曲作りたくのもわかるくらい強い曲書くし、今年のこの新譜もロックンロール魂が衰えていない。もうちょい売れていいと思うが…。


# sow - Route of Migratory (2016)

京都の 4 人組。説明だけ書こうとするとインストでポストロックでマスい…とかダサそうな言葉が並んでしまうけど、あざといけどあざとすぎない展開とエモいフレージングで、こういう系では久しぶりに聴き入っちゃったバンド。各パートがちゃんと必要性に応じて演奏してる感じがする。


# New Fries - More (2016)

Seams と同じくトロントから、パンキッシュでニューウェーブなバンドの 1st。Graham Walsh (Holy Fuck, Etiquette)が録音・ミックスというのが売りなようだけど、なるほどな音。こういうジャンルは No Wave というのか。気持ち悪いけどクセになる音とリフでグイグイくる。ジャケも気持ち悪すぎて。


# Crocodiles - Dreamless (2016)

サンディエゴのポストパンクなデュオ、もう 6 枚目なのか。初期の Fat Possum Records からリリースしてたアルバムはわりと話題になった記憶がある。毎回作風が違うとも似通ってるとも思っちゃうイメージがある。やっぱり今作も、初期のポストパンク的リバーブ全開な要素がありつつ、ギターポップな美メロがありつつ、流行っぽくファンクな要素も混ざったりしている。いや説明するだけだと Toro y Moi みたいなんだけど…なぜか居心地がわるい。なんだこれ。面白いアルバム。


# Merchandise - A Corpse Wired for Sound (2016)

フロリダの 3 人組。もう 6 枚目らしいけど全然知らなかった。80s の 4AD っぽさ全開の耽美ポストパンクサウンドだけど、ざらざらと美しさが同居したボーカルや、ソフトとパンクを行ったり来たりするアレンジも退屈しない。4AD はちゃんとこういうバンドを引っ張ってきて、あの時代の進化形ともいえるアルバムをリリースするっていうのがすごくいい。


# Jerry Paper - Toon Time Raw! (2016)

LA の Lucas Nathan 氏によるプロジェクトの 2nd。Jody Porter(Tortoise)をもっとだらしなくしたような、もしくは真面目な Drugdealer のような…こういうファンキーだけど気の抜けたポップス流行ってるんだろうか。大好き。メロディがポップで音がペラペラなのが好きなのか。


# Islet - Liquid Half Moon (2016)

ウェールズのポストロックなバンド。キレは良いしアレンジも凝ってるけど、メロディセンスはポップなのでするっと聴ける。ギターのフレーズや音作りも面白いけど、バックで流れている波のようなシンセとか、うろうろしてる謎の音とか聴きどころに困らない。Minus the Bear 的なこだわり過ぎた突き抜けを感じる。


# Terry Riley - A Rainbow in Curved Air / Poppy Nogood and the Phantom Band (1969)

カリフォルニア出身の、ライヒやグラスと並べられるミニマルミュージック教祖的な作曲家。名前は知っててボンヤリ聞ける音楽探そうと聞いてみたけど、全然ボンヤリできなかった。これ 69 年作曲か…すごい。

即興性の高いインスタレーションをメインに活動していて、今作の A Rainbow in Curved Air も一聴すると入念なアレンジを行ったように聞こえるけど、ほぼ即興らしい。ちょっとナウシカのサントラを思い出すようなピロピロエレピと蠢くようなバックのシンセが慎重に展開していって、後半パーカッションと混ざり合う様子は思わず聴き入ってしまう。2 曲目はもっと偶然性が高いミニマルっぽい音がする曲。これは徹夜で演奏を続ける「All-Night Concert」シリーズの再現演奏らしく、実際のライブでは観客は寝袋を持ち寄ったらしい。楽しそうすぎる。