# Snowball II - Doughnut Holes (2016)

この間リストに入れた「?」はシューゲイザーど真ん中なアルバムだったけれども、半年で出した 2 枚目のこのアルバムは全編アコースティックアレンジになっている。しかし、どちらも甲乙つけがたいキャッチーなメロディセンスは光っていて、その面では今作のほうがボーカルが浮き彫りになるアレンジになっているので、よりじっくり味わうことができる。前身の Jackson & The Wargonauts でも見せた、シンプルさとアレンジ力の高さの両立がすごい。次のアルバムには Lilys の首謀者・Kurt Heasley が参加しているらしく、目が離せない。

# The Wytches - All Your Happy Life (2016)

ちょっとガレージも入っているイギリスのサイケポップバンド。リリースはマニックスや Saint Etienne、Doves などを輩出した名門 Heavenly Recordings から。音楽性が近くてレーベルメイトの Temples は正直イマイチはまれなかったけど、Wytches の方はもうちょっと今風に RAT 踏みっぱなしな感じで、ナリも冴えない感じでよい。

# Blue House - Suppose (2016)

特に録音が悪いわけでもないし、男女ツインボーカルで華やかなハズなのに、なんともスカスカな感じが全編を通してあるロンドンのバンド。しかし、スカスカなのに聴いてるうちにいつの間にか気持ちが揺さぶられていて、なにか郷愁にかられてしまうのがズルい。この間の Hoops や、フォーク寄りなら Cass McCombs あたりに近いポップスセンスがある気がする。あと、中盤の「Albert Played the Euphonium」は文字通りユーフォニアムソロがあり、サビがタイトルの連呼という最高の曲。

# Nicolas Jaar - Sirens (2016)

ニューヨーク生まれチリ育ちなトラックメイカー。Pitchfork などから高評価を得ていた Darkside の片割れでもある。全く踊る用の音楽ではないし、ノイズともアンビエントとも言えるし、ジャズも入ってるし、ちょっと南国感もありりつつ、でも繁華街の暗い路地裏のような感じもして、頭のどこからこんな音楽出てきたの?という驚きがたくさんあるアルバム。

# Goat - Requiem (2016)

スウェーデンの多人数バンド。全然知らなかったけどもう 4 枚目のアルバムになるらしい。グラストンベリーや ATP、ロスキルドなど大手フェスに結構呼ばれているらしい。「I Sing in Silence」や「Temple Rhthms」のようにアフリカのトライバルな音楽性と西洋楽器の融合、というような曲もあるし、「Psychedelic Lover」「Goatband」のようにもっとインディ寄りになった曲もあるが、どの曲もいままでのインディロック観からすこしズレたような感覚を覚え、楽しい。

# From Indian Lakes - The Monster (2016)

カリフォルニア在住 Joey Vannucchi さんのソロプロジェクトによる、4 枚目のアルバム「Everything Feels Better Now」から先行シングル。ちょっと暗いけどサビでぐっと掴んでくる感じはいままでと変わらず、よりアレンジとメロディが突き詰められてるように感じた。アルバム楽しみ。

# Crying - Beyond the Fleeting Gales (2016)

リリースは変わらず Run For Cover から。前作のチップチューンパンクから一転、リバーブ深めのシンセをメインに、より情感豊かなアルバムになっている。根っこがパンクなのは変わっていないけど、味付けにかなり幅が出て、メロディセンスも相変わらず冴えていて素晴らしい。ちょいちょいダッサいアレンジが入るのがかわいい。個人的にチップチューンなパンクの救世主だと思っていたので方向転換は寂しさもあるが(「A Sudden Gust」「The Curve」にちょっと名残が)、これはこれですごく良い。

# The Band - Stage Fright (1970)

Bob Dylan がノーベル賞受賞したというので Bob Dylan & The Band の Basement Tapes を聴いてみていたのだけど、いつの間にか The Band オンリーの音源ばかり聴いてしまっていた。周りに The Band 大好き人間がいっぱいいたのになぜか最近になってちゃんと聞くようになったのだけど、今のところこの Stage Fright が一番好き。ポップに接近しつつフォークロックとせめぎ合いをしてる感じが。Levon Helm の声も最高だけど Richard Manuel も好きで、特に一番最初に好きになった曲「Sleeping」は世間的にイマイチ人気がなく、納得いかない。

# Oasis - Be Here Now (Deluxe Edition) (2016)

デモ音源やライブトラックを追加しまくった、初期作デラックスエディション化プロジェクトはとりあえずこの Be Here Now で終わったらしい。音楽雑誌では 1st2nd が良すぎて 3rd はガッカリアルバムなんて書かれるけど、個人的には 3 枚とも同じくらい聞きまくってた(が、他のアルバムは全くと良いほど聴いてなかった)。
今回のバージョンでは弾き語りのデモとバンドでのデモ両方が収録されていて、特にアルバムで目立つ名曲「Don’t Go Away」はノエルボーカルでのバンドバージョンが入っていて、思わずじっくり聴いてしまった。むき出しのセンチメンタル全開という感じで、なける(The Real People との共作っぽいのにクレジットされていない問題、とかもあるらしいが…まあ)。